Ji-Hun Baeさん 韓国生産技術研究院(KITECH) 先任研究員

略歴
2004年9月 立命館大学大学院理工学研究科博士後期課程修了 博士(工学)
2004年9月 日本学術振興会 ポストドクトラルフェロー
2006年9月 韓国ロボット融合研究院(KIRO) 先任研究員
2008年5月 韓国科学技術研究院(KIST) ポストドクトラルフェロー
2009年8月 韓国生産技術研究院(KITECH) 先任研究員 現在に至る

現在の仕事は?研究テーマは?
韓国生産技術研究院(KITECH)という国家の研究所で研究員として働いています.ロボットハンドとアームの制御を中心に研究しています.特に,ロボットハンドに力制御を用いて,不特定物体の把持し物体の姿勢制御する研究をしています.
立命館大学大学院に留学した理由は?
韓国の大学で修士課程を修了しましたが,そのときの研究テーマは二足歩行ロボットでした.その後も,ヒューマノイドロボットの研究を続けたくて,物体の把持とマニピュレーションの研究をしている当時の立命館大学で教授をされていた有本先生の研究室で研究することを決めました.
大学院で得たものは?
立命館大学院での研究テーマは,ロボットハンドの制御やシミュレーションであり,現在の研究内容に直接つながっています.現在は,ロボットのハンドとアームの研究をしていますが,大学院の時代に教わったことを活かして設計や制御を行っています.
国家技術研究院について教えてください
一般企業に比べて,研究所の方が給料は少ないが,自分がやりたい研究をすることができます.また,研究所は論文を書いたり学会に参加する機会が多いですが,企業では,主に商品の開発を行うので,研究とは少し離れています.したがって,研究の目標があり,皆さんが自分の研究を進めたい場合は,研究所の方が良いと思います.
学生時代と比べて研究員になると違うことは?
学生のときは,成果を考えずに自由にチャレンジする機会が多いです.例えば,自分が興味を持つ分野について研究して,思い通りに進んでなくても,原因を探し,それについて考察を行うことで勉強ができて失敗しても,十分価値があります.しかし,研究員になると,失敗で終わらせることはできません.研究員は論文・特許・技術移転の項目から評価されていて,それなりの成果物が必要です.自分が進めたい研究ができて,国家でその支援を受けている分,責任が重大になります.
有望だと思うロボットの分野は?
現在,ロボットアームやハンドの精密な操作は,軍事,医療,産業,サービス分野の至るところで必要な技術です.そのため,いろいろなところで物体の把持とマニピュレーションの技術が使われると思います.また,産業用ロボットは,時代を問わず必要とされる分野であり,特に,最近は高齢化で,働ける人がどんどん減っているため,現在のロボット市場において注目されていると思います.
ロボット研究者を目指す後輩たちにひとこと
ロボット研究者に問われる能力の中で,他の研究者とのコミュニケーションをとる能力が最も大事だと思います.ロボットは,電気電子・機械・制御の様々な分野が混ざっているため,チームで働くことになり,個人では完成することができません.そのため,他の研究者と協力してそれらを融合させる力が必要です.

インタビュアー

金 慧鍾 Hye Jong, KIM
2012年 立命館大学理工学部ロボティクス学科卒業
2014年 立命館大学大学院博士課程前期課程修了
2018年 立命館大学大学院博士課程後期課程修了
(在学中はインフレータブル構造を用いた極軽量ロボットの研究に従事)

姜 秉炫 Byung Hyun, GANG
2014年 立命館大学理工学ロボティクス学科卒業
2016年 立命館大学大学院博士課程前期課程修了
(在学中はロボットアームの新しい重力補償機構の研究に従事)