機械,電気,情報,人間支援など幅広い分野で活躍できる人材育成に実績

ロボティクスの研究と教育を目的として,日本初のロボティクス学科が,1996年にこの立命館大学理工学部に設立されました.その後,2000人以上の卒業生が,機械,電気,情報,医療・福祉等の幅ひろい分野で活躍しています.現在の社会的課題は,複数の専門分野の統合によってのみ解決できる場合が多くあります.

ロボティクス学科では,機械,電子電気,情報の分野に加え,今後ますます重要となる人間支援技術の基礎を学習します.ロボティクス学科のカリキュラムでは,このような幅広い分野をバランス良く学習すると同時に,センサー,アクチュエータ,コンピュータ等の要素の統合化に関する科学と技術を習得します.このような幅広い知識を有する人材は産業界からも強く求められ,本学科の卒業生は社会や産業界の多様な分野でユニークな存在として活躍しています.また,大学院進学者も多く,博士号学位を取得し,大学等の研究機関に就職する卒業生も多数輩出しています.

インタビュー

ロボティクスとは何か? ロボティクス研究者に聞く

川村貞夫 特別招聘研究教授

略歴
1986年 大阪大学大学院 基礎工学研究科博士課程修了(工学博士)同年同大学助手.
1987年 立命館大学 理工学部 機械工学科 助教授
1996年~2022年 ロボティクス学科 教授
2003年~2006年 立命館副総長・立命館大学副学長
2011年~現在 立命館大学総合理工学研究機構先端ロボティクス研究センター長
2009年~2011年 日本ロボット学会副会長,
2011年~2013年 日本ロボット学会会長
2006年~現在 日本学術会議連携会員 機械工学ロボット学分科会,総合工学知の統合分科会所属
2022年~現在 立命館グローバル・イノベーション研究機構 機構長代理 特別招聘研究教授
研究・専門テーマ:ロボット運動知

ロボットとは何でしょうか?ロボティクスとは?

ロボットとは,センサーで環境や自分の状態の情報を得て,コンピュータで計算,判断,認識等を行い,アクチュエータで運動を行う人工物と考えることができます.その中には,形態が人間やその他の生物に類似する人工物もありますし,形態が異なるけれども,機能がロボットであるものも存在します.
ロボティクス(Robotics)とは,ロボットを科学することとロボットを作りあげる技術を示します.ロボットを科学するためには,人間をよく研究する必要もあります.ロボティクスは,人間科学を含む幅広い新しい学問領域です.

今後のロボットはどのようになるのでしょうか?

社会の人工物の多くがロボット化されていくと思います.たとえば,自動車はセンサーが搭載されて,自動車の形態は従来とほぼ同様ですが,自動車の機能は次第にロボット化されています.今後は,多くの人工物がロボット化されると予想されます.掃除機はロボットになりました.トイレ,ふろ場,家自体,ビル自体などがロボット化される可能性があると思います.
また,災害対応,航空宇宙,海中等の人間の作業が困難な極限作業用ロボットは,非常に有用となります.さらに,医療・福祉・生活支援も人手が必要です.この役割をロボットが担うことも期待されています.もちろん,ものを作るためのロボット,製造業用のロボットもより多く,また新しい製造業用ロボットが生まれてくると思われます.たとえば,従来取扱いが難しかった食品,衣料等を人間に代わって製造するロボットが期待されています.

2ロボティクス学科では何が学習でき,どのような専門家となれるのでしょうか?

[幅広いバランスよいカリキュラム]
ロボットを作りあげるためには,従来の学問分野では少なくとも機械工学,電気電子工学,情報学等が必要です.さらに,研究開発や人間支援ロボットを想定すると,人間についてまたは人間の計測についての一定の知識が必要となります.立命館大学のロボティクス学科では,機械,電気電子,情報,人間支援技術等を幅広くバランスよく学習します. ロボティクスは新しい学問で,日々進歩しています.このために,立命館大学のロボティクス学科教員が中心に,教科書シリーズ(コロナ社全18巻)を作成し,教育の充実にあたっています.


[創造性教育の重視]

ロボットを実現するためには,多様な要素を統合する必要があります.このためには,従来型のカリキュラムである分析や解析に加えて,システムを設計できる能力が必要となります.具体的には,自分のアイディアで,目的を満足できるロボットを設計開発できる能力が必要となります.場合によっては,問題自身を自ら作り上げることも求められます.このような能力を磨くために,本学科ではロボットの設計プラニングや実際にロボットを製作する実験等があります.また,ロボットシステム実現のためにはチームで分担して作業する場合が多く,チームワークやコミュニケーションの能力も必要となります.プレゼンテーションやディスカッションを,講義や実験に組み込んだカリキュラムとなっています.


[システム統合(システムインテグレーター)としての専門職]
これらの学習を通じて,ロボットを実現する技術や知識を身に着けることができます.前述のように,機械,電気電子,情報等々の広い分野の知識を身につけ,ロボットとして実現する能力を有する人材は,「システム統合」という新しい分野の専門家として,社会で活躍が期待されます.

[ロボティクス研究センターでの研究活動]
卒業研究や修士論文,博士論文の研究活動では,立命館大学のロボティクス研究センター内で行われる場合があります.本センターの起源は,社会・産業界からのニーズに対応し,ロボティクス研究を深化させる目的で,全国に先駆けて1995年に設置されました.その後多くの受託研究,共同研究を行い,研究のみならず卒業研究,大学院研究などの活動の中で,多くの人材を育成してきました.

[多様な就職先]
一般に,形態が人間や生物に類似のロボットのみならず,人工物の多くはシステムと考えられ,センサ,コンピュータ,アクチュエータの要素からシステムを統合できる人材は,製造業,食品,医療,福祉,資源開発等々の多様な分野で強く求められています.

沿革

2023/4加古川篤 准教授がロボティクス学科に着任.松野孝博 助教が近畿大学に移籍.ラディグロバート 助教が南デンマーク大学に移籍.
2022/4王忠奎 准教授,万野真伸 助教,織田健吾 特任助教がロボティクス学科に着任.加古川篤 講師が総合科学技術研究機構に移籍.李龍川 特任助教が北京化工大学に移籍.川村貞夫教授が定年退職.立命館グローバル・イノベーション研究機構 機構長代理 特別招聘研究教授へ.
2022/3有田輝 助教が九州大学に移籍.
2020/4田陽 助教,李龍川 特任助教がロボティクス学科に着任.
2019/4植村充典 准教授,加古川篤 講師,有田輝 助教,松野孝博 助教がロボティクス学科に着任.
2018/4櫻田武 助教,ラディグロバート 助教,田陽 特任助教がロボティクス学科に着任.小澤隆太 教授が明治大学に移籍.
2017/4岡田志麻 准教授,和田晃 助教がロボティクス学科に着任.有木由香 助教がソニーに移籍.土橋宏規 助教が和歌山大学に移籍.Kirill Van Heerden 特任助教がソニーに移籍.
2015/4加古川 篤 助教がロボティクス学科に着任.河村 晃宏 助教が九州大学に移籍.
2014/4有木由香 助教,王忠奎 助教,Kirill Van Heerden特任助教がロボティクス学科に着任.
2013/4河村晃宏 助教,土橋宏規 助教がロボティクス学科に着任. 岡田志麻 助教が近畿大学に移籍,林叔克 助教が英国Reading Universityに移籍,西岡靖貴 助手が滋賀県立大学に移籍.
2011/4林叔克 助教,西岡靖貴 助手,王忠奎 助手がロボティクス学科に着任. 植村充典 助教が大阪大学に移籍. 柴田瑞穂 助教が近畿大学に移籍.
2010/4玄相昊 准教授がロボティクス学科に着任.伊坂忠夫 教授,真田樹義 准教授がスポーツ健康科学部に移籍.
2009/4下ノ村和弘 准教授,岡田志麻 助教,真田樹義 准教授がロボティクス学科に着任.
2009/3石井教授,前田教授がロボティクス学科を退職.ロボティクス学科特任教授に.
2008/4馬書根 教授がロボティクス学科に着任.植村充典 助教,柴田瑞穂 助教がロボティクス学科に着任.金岡克弥 講師がロボティクス学科から先端ロボティクス研究センターに移籍.
2008/3渡部教授がロボティクス学科を退職. 先端ロボティクス研究センターチェアプロフェッサーへ.
2007/4柴田瑞穂 助手がロボティクス学科に着任.
2007/3有本卓 教授がロボティクス学科を退職,ロボティクス学科客員教授に.
2004/4飯田健夫 教授がロボティクス学科から情報理工学部へ移籍. 杉山進 教授がロボティクス学科からマイクロ機械システム工学科に移籍.
2003/4金岡克弥 講師,小澤隆太 講師がロボティクス学科に着任.
2002/4野方誠 助教授がロボティクス学科に着任.
1997/4有本卓 教授がロボティクス学科に着任.
1996/4ロボティクス学科を設立.教員は,川村貞夫 教授,渡部透 教授,前田浩一 教授,永井清 助教授,飯田健夫 教授,石井明 教授,杉山進 教授,牧川方昭 教授,手嶋教之 助教授,平井慎一 助教授.
1994/4びわこ・くさつキャンパスがオープン.